みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#13では、みずほが統合直後に起こした最初の大規模システム障害の直後まで時計の針を巻き戻す。
その元凶がどこにあったのかを探ると、約20年後に起こした3度目の大規模システム障害と驚くほど重なる。みずほが合併当初から抱えていたガバナンス不在の実態に迫った。
みずほ誕生直後の大規模システム障害
社内に届けられた「緊急通達」
5月は税金の季節である。31日は、3月決算法人の確定申告・納税期限であり、ほかにも消費税、自動車税、固定資産税の納付が、この時期に集中する。
みずほ銀行のシステム障害が沈静化の方向に向かった2002年5月7日、「みずほコーポレート銀行」の全国営業部に、「緊急」の社内通達がイントラネット経由で届けられた。
標題は、「5月の税金窓口収納ピーク対策について」。税金事務処理の負担を減らすために、銀行窓口への持ち込みを抑制するよう取引先に要請し、やむをえない場合でも納付期限の3営業日前までに持ち込むことを周知徹底させる旨の本部指示が、記されている。税金の払込みが窓口に殺到した場合、事務処理能力がパンクすることを恐れ、早めに手を打ったわけだ。
みずほコーポレート銀行(以下、CBと略す)では、4月にも口座振替え、振込み処理などの持ち込みを「抑制」するよう取引先に要請。ぎりぎりの綱渡りのなかで、決済集中のピークとなった4月30日をしのいだ経緯がある。
システム障害を起こしたのは、みずほ銀行だが、グループ内で真に問題になっているのは、じつはCBの混乱なのだ。