ただし田中社長は、「トヨタ自動車は2年連続1位のSGDsの優等生企業だが、必ずしもすべての項目がトップというわけではない。たとえば、国際化が進んでいるとの評価も高いが、『ゴール16:平和と公正をすべての人に』の評価は低く、一般消費者にとってその印象は薄いようだ。こうした事実については意識すべきだろう」と指摘する。

※4  ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する11の項目について、「各社の企業活動について、あなたの考えやイメージに合うもの」を選んでもらった(複数回答可)。本記事の表には記していない。

【電機・電子】
項目ごとの平均値が安定した
キャノンが1位に

  一方、電機・電子業界では、「SDGs評価」でキヤノンが1位(17.6点)となった。しかし、表には記していないが、17項目に及ぶ「SDGsゴール別」の合計点では、パナソニックが80.4点でキヤノンの74.5点を上回る。同じく合計点では、3位のソニーが80.9点、4位東芝が84.3点と、キヤノンを上回っている。

 つまり、キヤノンはSDGsへの取り組みについてのトータルイメージに関しては高いが、個別の点数の積み重ねでは東芝、ソニー、パナソニックの方が高いというわけだ。この結果から想像されるのは、後者の企業群の方がSGDsにおける具体的な取り組みを認知・評価されているということだろう。特に東芝は、「ゴール7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が9.1%と高い。上位企業の中では唯一、重電も抱えており、原子力発電所をはじめとする電力事業を柱にしていることが認知されているようだ。

 ESGイメージでは、キヤノンは「商品やサービスが信頼できる」19.4%、「科学技術の発展に貢献している」11.7%、「環境に配慮している」9.3%の順。パナソニックは「商品やサービスが信頼できる」20.3%、「国際化が進んでいる」10.7%、「環境に配慮している」10.7%。ソニーは「商品やサービスが信頼できる」19.3%、「国際化が進んでいる」14.2%、「科学技術の発展に貢献している」12.8%の順に評価されている。

 そんな中、4位のEPSONは「商品やサービスが信頼できる」15.6%、「環境に配慮している」11.6%、「社会貢献活動をしている」10.0%という順であることが特徴的だ。

 最後になるが、「ゴール9:産業と技術革新の基盤を作ろう」への評価について、機械・金属業界は9.7%、電機・電子業界は9.8%と、全10業界の中でひときわ目立っている。

 田中社長は、「機械・金属も、電機・電子も、日本のものづくりを支える業界。それぞれの業界を代表するトップ企業が上位を占め、上位50位までのほとんどを製造業で占めている。日本の産業の源泉がものづくりにあることがわかる結果となった」と結論づけた。

(フリーライター 西嶋治美)