断っておくが、「バトル・ロワイアル」がパクリだとなんだと言いたいわけではない。映画、アニメ、ドラマ、漫画などの作品で、完全にゼロからオリジナルでつくられたものなど存在しない、と言いたいのだ。

 あらゆるクリエイターが、他の作品から影響を受け、模倣をしているような部分がある。そして、その作品も、別のクリエイターが模倣をする。中国の「ニセドラえもん」のような粗悪な模倣作品は論外だが、そこにリスペクトがあれば、ストーリーやキャラクターのイメージなどは「パクりパクられ」になってしまうものなのだ。

 有名なのが、ディズニーの「ライオンキングパクリ騒動」だろう。これが故・手塚治虫氏の「ジャングル大帝」をパクったものだと、一部の方たちが主張して、ディズニー側が正式に反論をすることにまで発展をした。

 しかし、当の「被害者」である手塚氏側はこの騒動に沈黙を貫いた。手塚氏が「ジャングル大帝」という作品をつくれたのは、ディズニーの作品の影響も色濃く受けていたからだ。

 ファンなら常識だが、手塚氏は子どもの頃からディズニー好きで、戦前からディズニー映画を観ていた。「白雪姫」を50回以上、「バンビ」を80回以上も鑑賞したというのは有名だ。

 戦後、そんな根っからのディズニー好きがジャングルを舞台に動物が主役の物語を描けば当然、ディズニーっぽい世界観になる。しかも、手塚氏が子ども時代、「ターザン」などのアメリカでジャングルを舞台にした冒険活劇映画が世界的に人気となっており、「ジャングル大帝」にもその影響が見て取れる。

 もし仮に「ライオン・キング」が「ジャングル大帝」のキャラなどをパクっていたとしても、これがディズニー映画やターザンをベースに着想された部分もある以上、「お互い様」なのだ。