保険ラボ

2023年4月に第一生命保険の社長に就任した隅野俊亮氏。就任からしばらくは営業成績が厳しい状況が続いたが、ここ最近は業績回復傾向にある。また、対面と非対面を掛け合わせた新たな組織や仕組みづくりを進めることで、顧客との長期的な関係性構築やアフターフォローの変革を行おうとしている。そこで連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、隅野社長にその要諦を聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

足元の業績が回復基調
金利上昇への対応は?

―― 一時期の厳しい状況から、足元の業績は回復基調にあります。

 2023年4月に社長に就任する前の数年間はコロナ禍があり、また、不祥事によって営業を抑制していました。23年4月から切り返しに入ったわけですが、簡単ではなかったというのが、就任から1年間の総括です。

 私はよくスポーツ選手に例えるのですが、1日休んだら取り返すのに3日かかります。われわれもプロ集団ですので、それだけ繊細です。むろん、その間にさまざまな意識付けや商品開発、戦略の練り込みなどを行いました。それらが一気に発現したのが、上半期の実績というわけです。この流れをいかに持続していくかが課題です。

――そうした中で、金利が上昇し始めました。

 金利の復活は、保険業界に限らず金融機関全般にとってポジティブな話です。生命保険業界について言えば、二つの切り口があります。1つは資産運用で、2つ目は商品戦略です。

――資産運用面でいえば、金利上昇により円建て債券の含み損が約1兆円となっています。