脱炭素地獄#8Photo:REUTERS/AFLO

日本政府・経済産業省の“悲願”である台湾TSMCの国内誘致が決まった。だが、半導体メーカー元技術者の湯之上隆・微細加工研究所所長は、今回のプロジェクトを痛烈に批判する。特集『脱炭素地獄』(全19回)の#8では、TSMCの日本進出にはらむ問題点を湯之上氏に聞く。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

ソニー×TSMC新工場
最大の問題点は技術者

――台湾のファウンドリー最大手TSMCが、ソニーグループと組んで熊本に半導体工場(ファブ)を建設することを表明しました。その評価は?

 熊本の工場については以前から報道がありましたが、これが本当に実現するかどうかについては疑問を持っていました。TSMCは7月の決算発表のときに、日本の新工場については「検討している段階だ」と回答していましたが、検討した結果やらないだろうと思っていたんです。あくまで工場新設の公式発表がない限りは信じられないと。

 その信じられなかった最大の理由はですね、技術者はどうするんですかねっていう問題なんです。