営業利益を比べてみると……

林教授 そうですか。では次の質問をしましょう。A社とB社の売上高はさっきと同じだとして、営業利益がA社20億円に対して、B社8億円だとしたら、どうでしょう。どちらの会社が優れていると思いますか?

川村 それはA社でしょうね。A社の利益はB社の2.5倍ですから。なんと言っても、大切なのは利益ですよ。

林教授 じゃあカノンさんはどうかな?

カノン 私もA社だと思います。

川村 おいおい。またオレと同じ答えじゃないか。それって、ちょっとずるいんじゃないの。

林教授 まあまあ。カノンさんに、A社と答えた理由を説明してもらいましょうか。

カノン たしかにA社の営業利益はB社より12億円多くなっています(20億円-8億円)。でも、理由は金額の多さだけではありません。

林教授 というと?

カノン 営業利益率で見てもA社20%、B社16%と、A社が優っています。以上から、A社のほうがより効率的なビジネスをしているものと考えました。お父さんは理由がわかって答えたの?

川村 なんだと、ムカつく娘だな。そんなことはわかってるに決まっているだろ。お前に花を持たせたいと思っただけだよ。

林教授 では、お2人の答えが一致したところで、次の質問に移りましょう。

つづく

林 總(はやし・あつむ)
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。