10月1日に緊急事態宣言が解除され、酒類提供の制限が緩和された。しかし、飲食店の話を聞いてみると、かつての活況には程遠く、なかなか回復の道筋が見えないという。複数の飲食店関係者から情報収集を行った筆者が、苦悩の実態を報告する。(マーケティング・コンサルタント 新山勝利)
東京都では10月から
制限が緩和されたが…
東京都では、新型コロナウイルスの感染対策について、緊急事態宣言が解除された2021年10月1日から、飲食店での酒の提供は感染対策の徹底の認証を受けた店に限り午後8時まで可能とし、営業時間を午後9時までに緩和することになった。
そして、10月25日以降は、都の認証を受けた飲食店に対する時短要請を解除、酒の提供や営業時間の制限をなくすことを決めた。
同じグループの同じテーブルへの案内は4人まで、認証を受けていない飲食店では酒の提供は午後9時までなど、制約は残っているものの、飲食店にとっては待ちに待った規制緩和だったのではないだろうか。
9月以降、東京都だけでなく全国で新規感染者数の減少傾向が続いている。
しかし、海外では、ドイツやロシアなど、欧州を中心に感染が再拡大している。日本でも、複数の細菌学者や医師から、新たな感染拡大となる第6波を懸念する声が上がっている。
飲食店は現在、順調な回復を見せているのだろうか。今後、コロナ前のような活況を取り戻せるのだろうか。コロナ禍における衛生管理など、日ごろ飲食店の指導も行っている筆者が、複数の飲食店関係者から情報収集を行った。その実態を報告する。
要請を守った居酒屋から
守らない店に常連が流れた?
居酒屋では長きにわたり、酒類の提供が禁止されていた。そのため、昼間にこれまでなかった定食を出すことで苦境をしのいでいたお店もあった。
しかし、居酒屋では、原価が高い料理よりお酒で利益を得ることが多い。コロナ禍では、売り上げが低いのはもちろん、利益も当然低くなる。
とある老舗の有名な大衆酒場でも、ランチ営業を行っていた。しかし、普段は取材を受けることもなく、SNSを活用した告知も行っていなかった。このため、「知る人ぞ知る」状態になっており、なかなか認知されずにいた。このような例は少なくない。