「インフルエンサーの収益源は、視聴者からの投げ銭やグッズ販売など多岐にわたりますが、最も一般的なのは広告収入です。YouTubeにはGoogleアドセンスという仕組みがあり、配信者は制作した動画の再生回数に応じて、Googleから広告収入が配当されます。一方、Instagramをはじめとする他のSNSは、コンテンツの閲覧数や再生数が直接収入につながるわけではありません。インフルエンサーが後者のSNSプラットフォームで安定した収益を得るためには、企業から依頼を受けてPR投稿を行い、その対価としてお金をもらうというステップを要します。YouTubeの場合、『魅力的な動画を作ってバズらせる』ことに専念すれば、自動的にお金が入ってくるわけですから、インフルエンサーとしては、目標が立てやすく、スポンサーのしがらみもないので、伸び伸びと活動ができる。YouTubeにインフルエンサーが集まりやすい要因はこの辺りにあるのです」

SNSプラットフォームの
米中対立が鮮明に

 活動するクリエーターの数が多く、10代から高齢者までユーザー層の幅も広いYouTubeは別格として、目下のところ熾烈(しれつ)なインフルエンサー獲得競争を繰り広げているのは、マーク・ザッカーバーグがCEOを務めるMetaが有する2つのサービス、FacebookとInstagramと、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が開発運営するTikTokの2陣営だ。

 運営母体の資金力や月間のアクティブユーザー数という観点において、Facebook&InstagramはTikTokを圧倒している。とはいえ、しばしば大きな消費トレンドを生み出すという点で、マーケット的には極めて重要な層である10代からの支持は、圧倒的にTikTokに分があるという。

「これまでSNS投稿といえば文字と写真がメインでしたが、スマホカメラの性能が上がり、5G通信も普及しつつある昨今、ユーザーの嗜好(しこう)は動画投稿に移っています。TikTokの強みはアプリ内で簡単に編集ができる点です。スマホ1台で撮影から編集まで手軽に行えて、気楽に見られるといったポイントがウケ、TikTokの短い動画は、10代の若者から絶大な人気を誇っているのです」

 これに対し、Instagramも15~30秒の動画の投稿・視聴ができる「Reels」機能を実装したが、二番煎じの印象は拭えず、若年層のユーザーを振り向かせるには至っていない。