一方、売上高で言えば大手私鉄と同等のJR九州は、昨年度約102億円だった純損失が約20億円まで縮小。運輸事業は100億円以上の赤字だが、事実上の本業ともいえる駅ビル・不動産事業が好調で業績は持ち直しつつある。

 大手私鉄はそれ以上に回復基調だ。東急は約242億円の純利益を計上。近鉄GHDが約120億円、小田急が約80億円、京急が約76億円で続く。一方、西武HDは約128億円、京成が約78億円、東京メトロが約70億円の純損失となった。

 全体で見ると15社中11社が最終黒字となり、西武HD、京成、東京メトロ、京王の4社が最終赤字となった。前年度同期は15社全てが純損失を計上したことを思えば、コロナの感染状況が好転しない中で、この1年で業績は大きく改善したと言える。

 ただその内訳を見ていくと様相は異なる。15社のうち営業黒字となったのは東急、阪急・阪神HD、東武、南海、小田急、京阪HD、相鉄HD、西鉄で、営業赤字となったのは京王、名鉄、京急、西武HD、京成、東京メトロ、近鉄GHDだ。

 セグメント別の営業利益では、本業の鉄道とバスを含む運輸事業で黒字となったのは東武のみ。各社のホテル・レジャー事業も引き続き巨額の赤字を計上しているが、堅調な不動産事業が両セグメントの赤字をカバーした格好だ。