若手に自ら手をあげて
「やりたい」と言わせるためには
サイバーエージェントにも受け身な人はいます。
会社として「本人の意思を尊重しよう」という風土はありますが、あくまで意思表明するかしないかは個人の自由であり、強制するものではありません。
だから、人事担当者の方の悩みも痛いほどわかります。
では、受け身の社員に自ら手をあげて「やりたい」と言わせるためには、どうすればいいのでしょうか。
それは、普段から「自分の言葉で話させる」ことです。
逆算して考えてみましょう。
自分で「やりたいです」と手をあげる(主体的に動く)ためには、
自分の意見を言う、自ら発言する(主体的に話す)習慣が不可欠です。
「こうしたい」「こう考えている」と意見を言う習慣があれば、自然と「私がやりたいです」という発言も出てくるからです。
自分の意見を言うためには、まずは、
自分の言葉で話す(自分の言葉を持つ)訓練が必要なのです。
発言する機会がなければ、
若手は思考停止する
例えば、「あなたは黙って聞いているだけでいいから」と、上司から言われている会議に参加するとしたら、その議題について真剣に考えるでしょうか。
おそらく聞いているフリはするでしょうけれど、決して意見を求められることはないので、多くの人はその議題について真剣に「考えること」を放棄してしまいます。無自覚のうちに……。
そもそも自分の言葉で話す機会がない人がいきなり意見を求められても、「えっと」「あの~」とすぐに言葉が出てこないでしょう。
そう、「発言する機会」がない、つまり「自分の言葉で話す機会がない」というのは、「自分の頭で考える機会さえない」かもしれないのです。
これでは若手が成長するはずもありません。
それゆえ、自分の言葉を持つために、自分の頭で考える習慣をつけるために、
自分の言葉で話す機会を、上司が与える必要があるのです。
これが受け身脱却の第一歩です。
あなたの職場では、「受け身だ」と思う社員が、「自分の言葉で話す」機会はあるでしょうか。
まずは機会づくりからです。
※次回は、自分の言葉で話す習慣がつく方法についてお伝えします。(次回は12月8日公開予定)
1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服部門配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、社員数が20人程度だったサイバーエージェントにインターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任。2008年から取締役を6年務め、2014年より執行役員、2016年から取締役に再任。2020年より現職。著書は『強みを活かす』(PHPビジネス新書)、『サイバーエージェント流 成長するしかけ』(日本実業出版社)、『クリエイティブ人事』(光文社新書、共著)等。ビジネス系ユーチューバー「ソヤマン」として情報発信もしている。
2005年の人事本部長就任より10年で20以上の新しい人事制度や仕組みを導入、のべ3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わる。毎年1000人の社員とリアルおよびリモートでの交流をおこない、10年で3500人以上の学生とマンツーマンで対話するなど、若手との接点も多い。