これを読めば選挙のキモが丸分かり!

坪井 ところで、どういったところで党の方向性を見るか知っている?まず、「公約」だよね。前回の総選挙で盛り上がったマニフェスト。この言葉は聞いたことあるかな?

―もちろん!選挙のときに「これします」「あれもします」って国民に約束するものでしょう?

坪井 では、公約との違いは分かる?

―あ。そう言われればよく分かってないかもしれません…。

坪井 公約は「党の方向性」。マニフェストはそれを実現するための「実行策」だ。学校で言うと、公約が校訓でマニフェストは学級の目標のようなものかな。ちょっと違うか。

 マニフェストはもともとイギリスで使われていて、日本で最初のマニフェスト選挙となったのは2003年だった。そのときからマニフェストには「政治主導ですよ」という姿勢が全面的に出ていた。

 ただ、マニフェストには結構具体的な数字を盛り込むから、達成したか達成していないか明確に分かってしまうよね。国民を盛り上げ政権をとったあとに「やっぱり無理でした」、なんてことになると、国民から「嘘つき!」と罵声が飛ぶことになる。期待して投票したんだから、そりゃそうだよね。

―いい大人が約束しているのに、「やっぱり無理でした」って言われても、ちょっと納得できないなあ。

坪井 一有権者としてそう思うよね。「貴重な一票を返せ!」って(笑)。ただし、マニフェストをガチガチに守ると小回りのきかない政治になってしまうという点も事実なんだ。情勢は刻一刻と変わっているわけだからね。

 ただ、前回の衆院選では民主党をはじめ5党がマニフェスト方式を採用していたけれど、今回マニフェストという言葉を明確に使用しているのは民主党だけでしょう。実際、党として掲げたはいいけど守るのが難しかったし、国民がもう信用しなくなってしまった、という背景もあるだろうね。民主党も数値目標はやめちゃった。

―じゃあ何を見ればいいんですか?

坪井 それは実際の公約を見ながら解説していこう。