張勇氏はたぶん、勝ち組になれる

 コロナ下での急速な拡張も人々を驚かせたが、今回の閉店の決意もまた社会をあっと言わせた。だが、その一方で「張勇氏はたぶん勝ち組になれる」という、飲食業界ライターによる記事が広い範囲で読まれていることを付け加えておこう。

 この記事では、まず張勇氏が事態を認識して決断したことがなによりも重要だと述べている。張勇氏は業績低下の最大の原因は社内の管理体制だと認識しており、「キツツキ」計画で内部の組織変革を行い、今後は支店展開に細かな配慮を行っていくことを明言している。とはいえ、まずは総店舗の20%を削減することで、自信と株価の立て直しを図り、前進するパワーにつなげることを張氏は投資家に向けてすでに宣言した。

 それに加えて、張氏が「店は削るが解雇はしない」と宣言したことも、海底撈チェーンの士気を維持するのに役立つと記事は言う。実際、新型コロナ禍が続く中で、中国国内の雇用状況は悪化しており、雇用不安が蔓延(まんえん)している。そんな中での300店舗閉鎖がもたらす心理的影響は計り知れない。

 だが、張氏は「体制立て直しがなれば、また店舗を拡張していく。それはわたしの使命だ。安定すれば前進する。不安定になれば安定を図る」と述べた。さらに雇用継続を宣言したことで、「海底撈は四川の小さな麺屋から始まって今日まで発展した。力を十分に蓄えるにはしばらく時間はかかるかもしれないが、1300店舗を基盤にきっとまた新たな一歩を踏み出すときがあるはずだ」と、同記事は期待たっぷりに結んでいた。