日本では「コロナ対策で一定のバラマキ政策はやむなし」という雰囲気になっている。ところが世界を見渡すと、来年から増税を実施すると発表した英国をはじめとして、早くも財政規律とのバランスを取り始めている。日本と世界の間に広がる衝撃的なまでの格差の実態をお伝えしたい。(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
例年明記されてきた
「聖域なき歳出改革」は削除
日本政府は過去最大の2021年度補正予算案を12月6日に国会へ提出した。22年度予算の基本方針では、例年明記されてきた「聖域なき歳出改革」が削除され、「危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い、万全を期する」との文言が加えられた。当初予算としては過去最大規模になるもようだ。
コロナ禍前から世界一だった日本の政府債務の経済規模比は、より一段と上昇していくことになる。では海外での財政の議論はどうなっているのだろうか?
調べてみると、かなりの違いがあることに驚かされる。大半の先進国は、コロナ危機対応を徐々に縮小させつつ、政府債務の維持可能性を重視する方向へと明確にかじを切り始めている。「中央銀行に国債を買い支えさせれば問題はない」「先進国の国債はデフォルトしない」といった楽観論は、海外からは聞こえてこない。
ご参考までに次ページでは、本稿で紹介する世界の国々と日本の財政健全度と経済成長率の比較表を用意した。過去10年で国内総生産(GDP)に対する政府債務の比率(政府債務GDP比)がどれくらい変化したかの推移と、その間の実質経済成長率を示したものだ(国際通貨基金〈IMF〉21年10月の見通しより)。