生前贈与#3Photo by Akio Fujita

生前贈与を行うには煩雑な手続きが必要だが、生命保険を使った生前贈与プランは、とても簡便で手間要らず。特集『生前贈与 駆け込み相続術』(全19回)の#3では、その保険でしのぎを削る保険会社2社、三井住友海上プライマリーと第一フロンティアの商品内容をひもとき、解説していく。今年でも12月30日まで契約できるので、検討するのもありだ。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

生命保険の生前贈与プランなら
12月30日まで駆け込み贈与が可能

「どうして先月、この話を教えてくれなかったんだ!」。そうお叱りを受けたのは、ある地方銀行の銀行員。年が明けた今年1月、お得意先の自宅を訪問したときのことだ。

 年間110万円までの生前贈与なら基礎控除の範囲内であるため、贈与税がかからない暦年贈与。暦年という言葉が示す通り、単位となる期間は毎年1月1日~12月31日の1年間である。

 贈与を考え始めていたこのお得意先は、12月に話を聞いていればすぐに贈与を行い、110万円の基礎控除を活用できたのに、と悔しがったというわけだ。

 実際、銀行で取り扱っている生命保険を活用した生前贈与プランに加入して、銀行店舗が開いている12月30日の契約であればその年の贈与となる。

 この生前贈与プランを巡り銀行を舞台に熾烈な争いを繰り広げているのが、銀行窓販専門の生命保険会社である三井住友海上プライマリー生命保険と第一フロンティア生命保険の2社だ。

 一歩先を行くのが三井住友プライマリーで、保険を使った生前贈与プランを発売したのが2016年8月のこと。それから約5年を経て累計販売額は2兆円を突破。紛れもなく保険の生前贈与プランの盟主といえる存在だ。

 片や第一フロンティアは、16年に発売した個人年金保険を18年9月に衣替えして生前贈与機能を追加、三井住友プライマリーに追随した。その後、互いに相次いで商品改定を行い、いまや両社共に遜色がない内容となっている。

 では、保険を使った生前贈与プランとはどういった内容なのか。両社がしのぎを削る商品の中身をひもときながら、年末30日まで加入できる生前贈与プランのメリットを解説していこう。