「生前贈与を進めようとしても、親が首を縦に振らない」――。これは贈与をするうえで多くの人が直面する壁であり、最大の難関でもある。税理士法人レガシィの天野隆代表社員税理士は「ちょっとしたコミュニケーションが糸口になる」という。どうすれば親を「その気」にさせることができるのか。特集『生前贈与 駆け込み相続術』(全19回)の#4では、天野氏がその神髄を伝授する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
親が贈与する気になってくれない
「親も高齢なので生前贈与を考えてほしいが首を縦に振らない」
クライアントからよくこのような相談を受けます。贈与の最大の難関。それは、効果的な節税法や名義預金と疑われない方法など以上に、この「どうすれば親が贈与するのか」にあります。しかし、息子や娘から「相続税が安くなる」と言われ、快諾する親はまずいません。むしろこのような説得は逆効果。親からすれば贈与に何のメリットもありません。「自分に早く死んでほしいのか」などと、へそを曲げられるのが落ちでしょう。
「ちょっとしたコミュニケーション」が糸口に
とはいえ、わが子に少しでも多くの財産を残したいと思うのも“親心”。この心の奥にある本音をどう引き出すかが、親に贈与を決心させる鍵となります。
私は相談者にアドバイスする際、きっかけづくりとして、あることを提案します。