生前贈与#4Photo:PIXTA

「生前贈与を進めようとしても、親が首を縦に振らない」――。これは贈与をするうえで多くの人が直面する壁であり、最大の難関でもある。税理士法人レガシィの天野隆代表社員税理士は「ちょっとしたコミュニケーションが糸口になる」という。どうすれば親を「その気」にさせることができるのか。特集『生前贈与 駆け込み相続術』(全19回)の#4では、天野氏がその神髄を伝授する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

親が贈与する気になってくれない

「親も高齢なので生前贈与を考えてほしいが首を縦に振らない」

 クライアントからよくこのような相談を受けます。贈与の最大の難関。それは、効果的な節税法や名義預金と疑われない方法など以上に、この「どうすれば親が贈与するのか」にあります。しかし、息子や娘から「相続税が安くなる」と言われ、快諾する親はまずいません。むしろこのような説得は逆効果。親からすれば贈与に何のメリットもありません。「自分に早く死んでほしいのか」などと、へそを曲げられるのが落ちでしょう。

「ちょっとしたコミュニケーション」が糸口に

 とはいえ、わが子に少しでも多くの財産を残したいと思うのも“親心”。この心の奥にある本音をどう引き出すかが、親に贈与を決心させる鍵となります。

 私は相談者にアドバイスする際、きっかけづくりとして、あることを提案します。