住宅ローン「減税幅の縮小」は怖くない!それ以上を取り戻す簡単な方法写真はイメージです Photo:PIXTA

住宅ローン控除の減税幅が縮小する。2021年と比較すると、ややキャッシュフローが悪くなるのだ。その分の取り返し方法を伝授しよう。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

なぜ住宅ローン控除の減税幅が
縮小されるのか?

 現行制度の住宅ローン控除は年末残高の1%の所得税の還付で行われる。この1%を決めたときの住宅ローン金利は2%ほどあった。だからこそ、持ち家促進政策の一環としてローン金利の軽減がされたのだ。

 しかし、その後、金利は大幅に低下した。金利が1%を割り、マイナス金利になった。0.4%台の変動金利が一般化した今日、住宅ローンは-0.6%である。ということは、4000万円の住宅ローンを借りたら、24万円のお金がもらえる状態なのだ。こうした事態に対し、不動産のキャッシュフローにうるさい私は、その「お得度」をコラムや動画などで主張してきた。

 私が主張するお得な税金関連の話を、お役人は必ず読んでいる。制度変更をめぐるいたちごっこは常にあるものだ。現行法の下で、常に正々堂々と実行すれば良いと私は考えている。

 今回の変更への経緯は、こうだ。会計検査院という税収の出方に無駄がないか監視している役所がある。そこが「住宅ローンは超低金利なのでマイナス金利の益税になっている」と指摘した。この役所の指摘があると、必ず制度改正が行われる。今回は控除枠が0.7%に縮小される見込みだ。

つい取り戻したくなる
制度変更の減額幅はいくら?

 現行の控除は、合計13年に及ぶが、11年目以降は消費税駆け込み対策がコロナで延長されている状態にある。今回の0.3%分の減額を埋め合わせるように、この期間は10年間から13年間に延長される。また、控除率を掛ける住宅ローンの年末残高の上限が新築で4000万円だったものが、実質5000万円に増額されている。これらは不動産業界のロビー活動の成果だろう。持ち家促進政策と脱炭素化住宅という国策に合致した提案を不動産業界はしているのである。

 ほとんどの人が0.4%台の変動金利を借りているのに、0.7%の控除枠は今後もマイナス金利であることに変わりはない。こうした「生ぬるい」改正になりそうだが、そんな減税枠縮小はどのくらいになるのか、説明していこう。