業界の常識を覆した風雲児、オープンハウスが国内住宅の売上高で積水ハウスと住友林業の間に割って入り、トップ5に食い込もうとしている。戸建てバブルで序列が変化する一方、バブルの賞味期限も近づいている。特集『戸建てバブルの裏側』(全6回)の#1では、住宅26社の決算ランキングを基に、業界の構造変化の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
業界の常識を覆した
オープンハウスとケイアイスター
「1兆円は目前だ」――。2022年9月期決算の売上高を9200億円と予想する住宅メーカー、オープンハウスの鼻息が荒い。
1997年設立の同社は、47年設立の大和ハウス工業や48年設立の住友林業などと比べて、戸建て業界ではまだ若手だ。
だが、首都圏都心部の駅近という好立地で新たなビジネスモデルを構築し、一気にのし上がった。競合他社が手を出さないような狭い土地でも次々仕入れ、3階建ての建売住宅でシェアを伸ばしてきた。郊外の広い土地で家を建てる、そんな業界の常識を覆した風雲児だ。
90年設立のケイアイスター不動産もまた、前例のない仕組みで業界に風穴を開けた。人工知能(AI)を駆使した独自の用地仕入れプラットフォームを構築し、注文と建売のいいとこ取りをしたコンパクトなセミオーダー住宅で飛躍した。
その他の住宅メーカーを見ても、コロナ禍前と比較して2桁成長を見込む企業が続出しており、世はまさに戸建てバブル。もちろんその台風の目がオープンハウスだ。
次ページからは、住宅メーカー26社の最新決算ランキングを基に戸建て業界の「序列逆転」の実態を明らかにし、戸建てバブルの「賞味期限」がいつ切れるのか予想する。