雑談は、誰でも簡単に実践することが可能です。口下手のあなたでも、苦手な人が多いあなたでも、まずは大きな声で「おはようございます」と言って、スマイル。それだけで雑談の80%はできたも同然。それくらいの気持ちでドンと構えましょう。

謙虚で傾聴力がある人は
ビジネスで成功する

 25年来お世話になっている某大手企業の副社長と会食をしたときのことです。ご自身の部下2人も同席されていました。関係で言えば、得意先と広告代理店。明らかに先方のほうが上座です。ところが副社長は、

「ひきたさんには、本当にいろいろ教えてもらった。みんなも教えてもらうといい」

 と言って、私を上座に促しました。

 その後、会食が進んで私があれこれと話を続けていても、常に低姿勢で、「いいことを教えてもらった」「それは参考になるなぁ」などと、感慨深げに言ってくれるのです。調子に乗って、ついこちらも口が軽くなりました。

 帰りの電車の中で、ふと思いました。「あの低姿勢が、彼を副社長にまでしたんだろうなぁ」と。

 パナソニックを一代で築いた松下幸之助氏は、部下にも新人にも「教えてほしい」と言ったそうです。考えてみると、カリスマ経営者と言われる人は、腰が低い。人の話をよく聞きます。起業から一代で会社を大きくした人の中には、ワンマンに見える人もいます。しかし私の実感では、それはイメージが先行している場合が多い。

 決断するとき、決断したものに対してはこだわりますが、それ以外では人の話をよく聞く人のほうが多いのです。ひと言「教えてほしい」と言うと、その道のプロがサッと寄ってきて最新情報を教えてくれる。そんな姿に私は「カリスマ性」を感じます。