人間がストレスを感じたときは、コルチゾールとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)という重要なホルモンが分泌される。

「どちらもそれ自体では善くも悪くもないし、人間にとって欠かせないホルモンである。だが、コルチゾールの値が高い状態が続くと、慢性炎症、免疫機能の低下、うつ病などを発症する恐れがある。一方でDHEAは、不安、うつ病、心疾患、神経変性疾患、その他のさまざまな病気や症状のリスクを軽減すると考えられている。おまけに脳の成長を促す神経ステロイドでもある」(『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』より)

 コルチゾールが心の不調を招くのに対し、DHEAは心の安定に働きかけるという。つまり、DHEAの分泌量を増やすことで、ストレスに強いメンタルを獲得しやすくなるのだ。

DHEAの分泌量を増やして
質の高い成果を得よう

 このDHEAの分泌量を増やすポイントは、チャレンジ精神でストレスに立ち向かうことだという。

『ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・サイコロジー』に掲載された論文によると、不安や緊張などストレスを感じているときほど、「『私はわくわくしているのだ』と自分に言い聞かせるだけで、「警戒マインドセット」(ストレスと不安を感じる状態)から「絶好機マインドセット」(活力に満ちあふれ、準備が整った状態)に切り替わるという。論文では『心を落ち着けようとする人よりも、不安による興奮状態をわくわく感ととらえる人のほうが、能力を発揮しやすい』と結論づけている」(『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』より)

 絶好機マインドセットになった状態は、集中力やモチベーションが高いため、シングルタスクにも臨みやすいだろう。

 質の高い成果を得たいなら、マルチタスクからシングルタスクに行動パターンを切り替えるのがお勧めだ。特に現代人が陥りがちな「ながらスマホ」からいかに抜け出すかが鍵になる。タスクの整頓やストレスとの付き合い方を見直しつつ、シングルタスクの割合を増やしてみてほしい。

【参考書籍】

『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』(ブラッド・スタルバーグ、スティーブ・マグネス著/ダイヤモンド社)