日常生活への影響大
「宇宙天気」の重要性

 斉田さんが今、力を入れているのが「宇宙天気プロジェクト」だ。一般社団法人ABLab(エービーラボ)というコミュニティーの中で、宇宙天気プロジェクトマネージャとして宇宙天気を周知させる活動をしている。

「宇宙天気とは、私たちの社会に対して影響を及ぼす宇宙環境の変化のことです。例えば太陽の表面で大爆発が起きると、高速の太陽風や高エネルギー粒子が地球に降り注ぎ、人工衛星や通信、電力にも影響を及ぼすことがあります」

 実際に、1859年に起きた太陽風は「キャリントン・イベント」と呼ばれ、地上の通信線に火災を引き起こしたという。また、2003年10月に発生した太陽フレアでは、数十基以上の人工衛星が機能を停止・喪失させられる被害を受けた。

「宇宙天気は今後もっと身近になります。例えば今、スマホなどで位置情報を皆さん使っていますが、衛星のGPSに誤作動が起きたら、相当な影響が出ることは想像できますよね。さらに将来、車の自動運転やドローンによる配送などが普及し、衛星のGPS利用が増加すれば、太陽活動が地球上でとんでもない事故を引き起こすおそれがあります。また、民間の有人宇宙船の打ち上げが始まりましたが、宇宙旅行が本格化すれば、放射線による被ばくの問題も出てきます」

 去る11月30日には、オンライン開催された宇宙天気ユーザーズフォーラム(国立研究開発法人情報通信研究機構主催)に登壇し、「気象予報士が考える『宇宙天気キャスター』が活躍する未来」をテーマに講演した。

「コンピューターとかも、宇宙からの影響を受けやすいんですよ。ただ不具合が起きてもなかなか公表されず、情報が集まりにくいのが現状です。

 今、地上の天気予報が生活の全てに関わっているように、今後は全ての産業が宇宙天気に関わるようになります。

 アメリカでは、地震とか台風とかと同じように、災害のカテゴリーで宇宙天気のことを考えていますが、日本では多くの人がまだその言葉すら知りません」

 地上の気象予報同様、何か大きな災害が起きない限り、宇宙天気予報にも予算が付かず、周知もされないのだろうか。

「そうですね。そこは気象予報士が関わることで、変えていきたいと思います。いずれは気象キャスターが、“宇宙天気”を伝えることで、宇宙からも“防災”をする未来を思い描いています」