日本企業の時価総額ランキングに「異変」
人材先進企業が躍進

 さて、あまり大きな話題にはなっていませんが2021年の日本の株式市場には、ある大変化が起きています。これまで日本企業の時価総額ランキングではトヨタがダントツで、2位以下に名だたる伝統的な有名企業が時価総額10兆円以下で居並ぶという序列が続いていたのですが、そこから抜け出す新しい顔ぶれが出てきました。

 トヨタを追走して時価総額20兆円が視野に入ってきたのが、2位のキーエンスと3位のソニーグループ。そして4位に抜け出し時価総額12兆円レベルからさらに上を狙う勢いなのが、リクルートホールディングス。この4社の共通点は「人材先進企業」です。

 今、日本株を動かしているのは外国人投資家です。もともと海外の企業は、日本企業との競争において「社員のレベルの高さ」に脅威を感じてきた歴史があります。ですから、いざ投資に回るとなるとその点を評価しているというのは、ある意味当然かもしれません。失われた30年の中で人材を切り捨てて生き残りを図る企業には見向きもせず、外国人投資家は人材力に目をつけているわけです。

「その組織にとどまるためには、常に学び直して自分自身が成長していかなければならない」というのが人材先進企業の共通点です。そして、その難易度はここ数年間のグローバル経済の進化で上がる一方です。人材としての基本的な地頭力は強いのですが、必要とされるスキル自体が変化して経済の第一線にとどまりづらくなってきている。そんなもったいない人材が世界的に増えているため、学び直しを意味するリスキリング(Re+Skill+ing)という言葉が注目されています。

 そして、この社員の学び直し、驚くべきことに米国の大企業の方が、日本の大企業よりもはるかに進んでいるのです。