大学生とお金のイメージPhoto:PIXTA

「大学生にお金の知識を授ける活動を行ってほしい」と要望するメールを大学4年生から受け取った。彼によると、あやしい投資話にハマる同級生がいたり、早くもカードローンに手を出して高い金利を払っていたりする大学生もいるらしい。その調子で卒業・就職すると、社会人のスタート時点から無駄な損を抱え込みそうだ。そこで先生役を期待される筆者の側で、大学生にお金について何を伝えたいかを10個の原則にまとめてみた。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

現役大学生からの要望
「大学生にお金の知識を授けて」

 昨年の暮れ近くに、大学4年生だという男性から筆者の会社のメールアドレス宛に1通のメールが届いた。そもそも大学生のマネーリテラシーが乏しいこと、そして、そのまま社会に出るとお金に関連して非合理的な行動を取る心配があることなどの問題意識を背景に、大学生にお金の知識を授ける活動を行ってほしいと要望する内容だった。

 文章がしっかりしていたので、Zoomで話してみたところ、期待以上の好青年だった。そこで、「それでは、大学生向けにお金の知識を伝える書籍でも一緒に作ろうか」という話になった。構成案を詰めた企画書を準備したり、出版社を探したりするのはこれからだが、確かに大学生の段階でお金の基礎知識を伝えることには意味がありそうだ。

 実は、今年は高校の家庭科に金融教育が取り入れられることになっているので、高校生向けのお金の本が多数出そうな年なのだ。しかし、考えてみるに大学生は既にお金を自分で扱い始めているし、卒業していわゆる社会人になった時にお金の初期設定を間違えるとその後に大いに苦労する。大学生にお金の知識を伝える事には大きな意義がありそうだ。

 件の男子学生によると、「FX(外国為替証拠金取引)必勝の方法論教えます」的なあやしい投資話にハマる同級生がいたり、早くもカードローンに手を出して高い金利を払っていたりする大学生もいるらしい。その調子で卒業・就職すると、銀行のキャッシュカードにクレジットカード機能を付けてリボルビング払いを設定したり、不要なのに生命保険に入ったり、社会人のスタート時点から無駄な損を抱え込みそうだ。