「復元力」と
「雑談力」のススメ

「ポイントは“自分は傷つきやすい性格だから”と気質の問題にしないこと。ふだんから自己肯定感を高め、ストレス耐性を高める練習をしておくべきです。それが難しければ、気持ちが凹んだときに復元する方法を考えておくこと。

 たとえば、凹んだときは贅沢な食事を自分に許す、というルールでもいい。ボクサーでもパンチを予測していればダメージが少ないといいます。社会に出れば大きな試練が待ち構えていると覚悟しておくことだけでも、レジリエンスは強化されると思います」

 齋藤氏がもう1つ提案するのは「雑談力」を身に付けること。雑談を通して人間関係を一歩ずつつくっていけば、自分の居場所ができる。居場所ができればストレスも軽減する。

「雑談力を高めるコツは、自分の好きなものについてしっかり語れるようにすること、それを相手の好きな話題につなげられるようにすること。多くの仕事がサービス業化している現在、雑談力を中心としたコミュニケーション力を鍛えることは、試練に立ち向かう大きな武器になると思います」

 さらに齋藤氏は、こうアドバイスする。

「孔子の論語に、“智仁勇”という言葉があります。智恵のある者は迷いがなく、仁(誠実さ)がある者は憂いがなく、勇気のある者は恐れることがない、という意味ですが、この3つの資質を備えている人は、非常にバランスがよい人間といえます。何かがうまくいかないときは、この3つのうちの何かが欠けていることが多い。常にこの3つの資質を意識しながら、高い人間性を目指して成長してほしいですね」