一つ目の「1日当たりの支給額」は、傷病手当金をはじめてもらった日以前の、過去12カ月間の月収の平均額()を30日で割って、3分の2をかけた金額だ

※はじめて傷病手当金が支払われた日(支給開始日)以前の12カ月間の、各月の標準報酬月額の平均。

 就職後すぐに病気やケガをして仕事を休んで、支給開始日までの期間が12カ月に満たない場合は、就職から休職する前月までの標準報酬月額の平均額と、全加入者の標準報酬月額の平均(協会けんぽの場合は30万円)を比べて、少ない方の金額をもとに支給額を計算する。

 たとえば、月収の平均が40万円だった場合は、【40万円÷30日×2/3=約8900円】が、1日当たりの傷病手当金になる(ただし、ここから各種社会保険料などを支払う必要があるので、手取りはさらに低くなる)。

 二つ目の「支給要件」は、次の四つをすべて満たすと給付を受けられる。

・業務以外の理由による病気やケガであること
・「労務不能の状態」であること
・連続して3日間休んだあと、4日以上仕事ができない状態であること
・休業中に勤務先からの給与の支払いがないこと、または減額されていること

 業務上や通勤途中の病気やケガは、労働者災害補償保険(労災保険)の対象になる。そのため、健康保険の傷病手当金は業務以外の理由で病気やケガをしたときの所得保障という位置づけだ。

 労務不能とは、病気やケガで仕事に就けない状態のことだ。医師の診断をもとに、労働者の仕事内容などを考慮して判定される。「仕事ができない状態」と判断されれば給付を受けられるので、入院していなくても、自宅療養も給付の対象になっている。

 ただし、3日間の待期期間があるため、給付を受けられるのは、仕事を連続して3日休んだあとの4日目以降。この要件に当てはまっても、勤務先から給与が支払われている場合は、傷病手当金は支給されない。ただし、給与が減額されている場合は、その差額が支給される。また、仕事を欠勤した日数ではなく、土、日曜や祝日などを含めた暦日数で支給される。

 そして、三つ目の「支給期間」が、今回の法改正で見直されたポイントだ。