中国民主化研究Photo:Andrea Verdelli/GettyImages

2022年は中国にとって
最も重要で肝心な年になる

 2022年が幕を開けた。

 2003年、単身で北京へ渡り、中国と縁を結んで以来、得体の知れないこの国の現在地と行き先を見つめてきたが、2022年は、最も重要で肝心な年になると確信している。それは、2022年を通じた政治情勢の推移次第で、中国という「党国」の進路が質的に変わってくるからである。年間を通じて、中国から目が離せない。

 鍵を握るのはやはり、習近平総書記(以下敬称略)の権力基盤、および中国共産党の正統性の問題である。「中国民主化研究とは中国共産党研究である」という前提で、2012年秋、習近平第一次政権発足以来書き進めてきた本連載にとって、核心的テーマといえる。

 筆者が見る限り、習近平にいわゆる政敵はいない。権力の一極集中、個人崇拝を通じて、党内外、政府内外、軍内外、そして長老を含め、皆「習近平思想」の下で一致団結、挙国一致で動いている。一方で、権力が習近平に集中すればするほど、何か問題が起きたとき、大きな政策ミスをしたときのハレーションは大きくなる。

 政敵はいないと書いたが、それは、習近平の内政(例えば国家主席任期の強行的撤廃)、外交(例えば対米国の戦狼外交)をめぐる戦略や政策に不満を持つ「潜在的反対勢力」が牙をむかないことを意味しない。

 ただ、こうした反対勢力も「タダ」では牙をむけない。習近平自身が墓穴を掘らない限り、彼らに、対抗する機会は回ってこないということだ。

 そう考えると、引き金になるのはイシュー(問題)しかない。例えば、新型コロナウイルスの感染防止に失敗する、少数民族と漢族との摩擦が激化して死者が多数出る、インフレが加速し、人々の生活が困窮し、路頭に迷う失業者が多発する、台湾問題をめぐって米国と軍事衝突し、敗戦する……といった具合である。そうなれば、潜在的反対勢力は疑いなく習近平の責任追及へと集団的に動き出すであろう。

 仮に、向こう半年間に、このような事態が発生すれば、目下、習近平にとって最大の政治目標である、今秋開催予定の第20回党大会を経て、2期10年を超えて、3期目に向けて続投するもくろみも崩れ去ることになる。