ソクラテスに始まる
哲学の大きな特徴

 それではソクラテスに始まる哲学の大きな特徴とは、一体何でしょうか。

 世界の構造はどうなっているのか。

 外部世界を一所懸命探求したイオニア派に対して、ソクラテスは人間の内面に思索の糸を下(お)ろしました。

 世界はどうなっているんですか。

 そのことを問う人に対して、ソクラテスは逆にこう問いかけた。

 「世界はどうなっているのか、と考えるあなたはあなた自身について何を知っていますか。人間は何を知っているのですか」

 ソクラテスはこの質問を人々に投げかけ、対話することで考えを深め、人々に不知を自覚させようと努めました(「不知の自覚」。かつては「無知の知」とも呼ばれていましたが、正確には何も知らないことを自覚するという意味ですから、不知の自覚と呼ぶべきです)。

 「ソクラテス以後」の哲学は、このように人間の内面に向かい、生きることについての問いかけを始めたことに大きな意味がありました。

 外面の世界から内面の世界へと思索を深めていく哲学が、ソクラテスから始まった。そのように考えられています。

 この本では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を出没年つき系図で紹介しました。

 僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。

(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)