顔の大写しは
目の動きを読まれる

 学生たちがもっとも工夫したのは、画角だったそうです。当初はスマホの画面に顔を大きく映す学生がたくさんいました。しかし、顔を大写しにすると目の動きを簡単に読まれてしまいます。動揺や緊張、答えが出てこず頭が真っ白になって窮している状態。それが相手に丸わかりになってしまうのです。

 そこでたどり着いたのが、テレビのニュースキャスターと同じバストショットだったといいます。これだと表情を読まれないばかりか、うなずく姿、大事なところで前のめりになるアクション、手の表情などが映せる。これだけで情熱的に見えます。

 これも第1回でお話しした「リモートでは1.6倍情熱的に見せる」工夫のひとつです。

常に参加者全員に
自分は見られていると心得よ

 カメラレンズを見て話す。そうは言うものの、モニターにはいろいろな人が映っています。その中には自分の顔もあります。目移りして、なかなかレンズに向かって語ることができないのが現状ではないでしょうか。

 私も苦労しました。ついモニターに映っている人の顔を見て語ってしまうのです。そこでカメラの横にマーキングのテープを貼ったり、カメラの上にマスコットを置いたりしました。多少は効果があったかもしれませんが、絶大とは言いにくい状態です。そのうちにプロのアナウンサーからこう言われたのです。「カメラレンズばかりをじっと見つめられていると、見ているほうは少し引いてしまいます。リモート会議では目移りするのは当然なのだから、『大事なところだけカメラを見る』くらいでちょうどいいのかもしれません」