前回の記事で、メンバーに意見を求めても、「特にありません」と返ってくるだけだったり、誰も何も返答せずに沈黙が続いたりするような、“無反応症候群”がはびこっている状況の問題点について指摘した。私にはこの元凶は、顔見せしないリモート会議にあると思えてならない。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
「カメラもマイクも常時オフ」
暗黙のルールが無反応を助長
リモートワークが一般化し、対面で話をしたり会議をしたりする機会が格段に減り、メールで仕事を進めたり、電話やリモートで対話や会議をしたりすることが普通になった。リモート会議の実施にあたっては、説明役だけがカメラやマイクをオンにして、他の参加者は基本的にカメラとマイクをオフにして参加するというルールを設けている会社が多い。
このルール、明文化されている企業もあれば、暗黙のうちに、そうすることが習慣になっている企業もある。
理由を聞いてみると、「インターネット回線に影響を及ぼすから」「タブレットやスマホでアクセスしていて画面が不安定になり、見る側にストレスを与えるから」「参加者が黙って聞いている顔を映しても意味がない」「自宅の様子が映ってしまう」「顔のアップや私服を見られたくない」「家族の声など予期せぬ音声が入ってしまう」などと、カメラとマイクをオフにすべきだという意見が、次々と挙げられる。
しかし、リーダーからは「顔が見られずに、メンバーの状況が把握できない」「表情が分からないので、賛成なのか反対なのか、反応がうかがいづらい」「聞いているのかいないのかが分からず不安だ」「会議が盛り上がらない」という懸念が示される。