総予測2022#記者座談会Photo:Diamond

「ダイヤモンドオンライン」をご覧の皆さま、2021年も弊社サイトをご愛顧いただきありがとうございました。主要国では、ウィズコロナ時代の「エネルギー・技術」覇権争いが活発化しています。コロナ変異株の状況、脱炭素バブル、世界の保護主義化、デジタルの社会実装――。世の中を左右する“変数”が多く不透明な時代にこそ、ビジネスパーソンには「着眼大局、着手小局」の実践が求められることになりそうです。ビジネスの「大きな潮流」を把握しておけば、仕事やキャリアに生かせる具体的な戦術が立てやすくなるはず。そこで特集『総予測2022』の本稿では、日本企業を動かす「8つの潮流」についてダイヤモンド編集部の業界担当記者が徹底解説します。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子、新井美江子、山本輝、土本匡孝、堀内亮、千本木啓文、大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

【日本企業を動かす潮流(1)】
脱炭素の揺り戻し

浅島亮子デスク

浅島亮子デスク 2022年はどのような年になるのでしょう。皆さんの担当業界の「大きな潮流」について教えてください。

 20年秋に菅義偉前政権が「50年までにカーボンニュートラルの実現」を掲げてから1年余り。欧州が先行してグリーン経済戦争を仕掛けたり、3000兆円ものマネーが環境関連投資に流入したりしたことで、21年は「脱炭素バブル」ともいえる状況だった。世の中でも、SDGs(持続可能な開発目標)ESG(環境・社会・ガバナンス)経営が流行ワードになるくらい注目を浴びたよね。22年も脱炭素バブルの状況は続くのかな。

新井美江子記者

新井美江子記者(金融業界担当) 脱炭素の流れは不可逆的です。主要国の金融当局による気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、大企業は気候変動リスクの情報開示が求められる方向です。だから、経営者が脱炭素努力を怠ることは許されません。

 ただし、2年は資本市場の期待先行、産業界の思惑先行で進んだ脱炭素シフトに「揺り戻し」があるのではないかと思っています。

浅島D 逆戻りはしないけど、揺り戻しがあると。確かに自動車業界でも、電気自動車(EV)一辺倒からガソリン車へ揺り戻しが起きるという観測が高まっているね。

 トヨタ自動車がEVへの巨額投資方針を発表したように、将来的にEVが電動車の主軸となるのは間違いないんだけれど、各自動車メーカーが掲げる目標通りにEV化を進めると車載電池が足りなくなってしまうし、自動車メーカー・サプライヤーの採算が取れない。

新井記者 サプライヤーの日本製鉄が顧客のトヨタ自動車を技術特許で訴えたのも、脱炭素を乗り越えることの難しさが表れた象徴的な出来事です。

以降では、記者座談会の続きとして、2022年の日本企業を動かす「8つの潮流」について徹底解説します。