総予測2022#食

2022年の「食」のトレンドはどうなるか。特集『総予測2022』の本稿では、料理評論家の山本益博氏が予想する。山本氏は「ステーキ」に注目し、赤身肉が見直され熟成肉が人気化すると見る。また、五つの地方の名レストラン・ホテルにスポットを当てる。(寄稿/料理評論家 山本益博)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

22年は「ステーキ」に注目!
赤身肉が見直され熟成肉が人気化

 2022年の料理のトレンドとしては、「ステーキ」を挙げたい。

山本益博氏やまもと・ますひろ/料理評論家。食を中心とした評論活動の傍ら自治体の食文化向上プロジェクトなどに参加。著書に『エル・ブリ 想像もつかない味』(光文社新書)、『東京とんかつ会議』(共著、ぴあ)などがある。

 高級ステーキといえば、かつては霜降りのサーロインだった。バブルの頃には炉窯で焼き上げる但馬牛のステーキが垂ぜんの的だったものである。

 しかし、霜降り肉ブームが行き着くところまで行くと、その反動で赤身肉の美味しさが見直され、そこから「熟成肉」に注目が集まるようになった。

 14年ごろには、「熟成ステーキ」をうたったステーキハウスが米ニューヨーク、サンフランシスコなどから東京へと上陸している。だが、十分浸透するまでには至らなかった。鮮度の良い牛肉のうまさを知っている日本人にはなじみにくい点があったと思われる。

 その後「熟成」の人気はすしにまで及び、またフランス料理やイタリア料理のレストランにまで熟成肉が広がるようになってきた。最近ようやく熟成の本領が理解されるようになった感がある。