タブーの世界へ足を踏み入れる…
鳥居の注連縄の内側と外側にあるもの

 初詣のために神社にいったとき、まずくぐるのが鳥居。じつは鳥居は聖と俗の境界を示すものといわれている。鳥居の外側は世俗、内側は聖域、つまり禁忌領域というわけだ。鳥居の起源については諸説がある。

 よく知られるのが、天照大神が天の岩戸に籠った際、八百万の神々が鶏を鳴かせるために岩戸の前に木を立て、そこに鶏を止まらせたのが起源だとするもの。

 しかし、これも定説とはなっていない。

 鳥居には注連縄が渡されるが、この注連縄も天の岩戸を起源とする説が知られている。天照大神が岩戸から出たとき、再び籠ってしまわないように岩戸に一本の藁縄を張った。この藁縄は「尻久米縄」といわれ、注連縄の起源となったというのがそれだ。

 注連縄は鳥居だけではなく、神棚や古木、奇岩などにも引き渡されているが、いずれもそこから内は聖域、結界(浄域)であることを示す境界のシンボルといえる。俗なるものはむやみに境界内に入ることはまかりならぬ、距離を置くべし、触るべからず、という禁忌を象徴するものといっていい。