ビットコイン投資の利益を公共事業に

 ビットコインに魅了されているのは投資家や企業だけではありません。国レベルでも、ビットコインの恩恵を受けようという動きが出てきています。

 2021年、最も注目されたのは、中米エルサルバドルによるビットコインの法定通貨としての採用でしょう。エルサルバドルのブケレ大統領は、ビットコイン価格が下がるたびに押し目買いをして、国として保有するビットコインの保有量を増やしています。こうしたビットコイン投資のリターンは学校建設などを通じて国民に還元されています。

 エルサルバドル以外にも、ウクライナやブルガリアなどビットコインを保有する国は存在しており、ビットコイン供給量の上限である2100万BTCの1.25%を占めています。



ビットコインに触手を伸ばし始めたウォール街の巨人たち、機関投資家の参入相次ぐ

 法定通貨が安定している先進国においては、国がビットコインを保有するというイメージができないかもしれません。しかし高いインフレに頭を悩ませる新興国は、ビットコインへの注目度が高いのです。2022年、ビットコインに頼らざるを得なくなる国が増えるかどうか、注目しています。

 一方、米国政府のビットコインに対する姿勢は不透明ですが、米国ではマイアミとニューヨークという大都市で受け入れ体制が整い始めています。

マイアミ
2020年12月 フランシス・スアレス市長が市の財務資産の1%をビットコインにすることを検討
2021年1月 スアレス市長が「マイアミ市を暗号資産イノベーションのハブ」にすると強調
2021年3月 スアレス市長がビットコインマイニング業者の積極的な誘致を検討
2021年8月 マイアミ市がインフラやイベントへの資金調達手段として独自暗号資産MiamiCoinを立ち上げ
2021年10月 市の職員へのビットコインでの給料支払いの許可を検討

ニューヨーク
2021年11月 ビットコインに友好的なエリック・アダムス候補がニューヨーク市長選で勝利
2021年11月 アダムス市長、市長として最初の3カ月の給与をビットコインで受け取ると宣言
2021年11月 アダムス市長、ニューヨーク市を暗号資産業界の中心にすると宣言
2021年11月 ニューヨークシティコイン(NYC Coin)が始動

 2022年1月3日、ビットコイン誕生から13年の月日がたちました。未成熟な業界であることは確かであり、詐欺行為やハッキングには常に気をつけなければいけません。ただ上記の通り、米国ではプロの投資家や大手企業、大都市が大きく暗号資産に対する見方を変えてきています。さらにエルサルバドルやウクライナ、ブルガリアのように、国家レベルでビットコインを保有する動きも出てきています。これ以上後れを取らないためにも、日本は長い眠りから目覚める必要があるでしょう。