子どもたちの前で授業をすることが多い私は、常に笑顔でいることを心がけています。口角を上げて「スマイル」をつくることも大事ですが、眉間を意識的に開こうとします。すると「口元は笑っているけれども、目が笑っていない」とは言われない顔になる。笑顔の含有率の多い顔立ちになってくるのです。笑顔をつくることも、立派な目力増強法です。試してみてください。

 リモート会議で気になるのは、仏頂面で目力のない人が多いこと。素の自分が出すぎています。モニターをチェックして、自分の目力を確かめる癖をつけましょう。

手の動かし方で、
言葉をかたちにする

 前回、リモートでの適正画角のところでも説明しましたが、共感を呼ぶ対話のためには手の動かし方も重要です。私はスピーチの仕事をはじめた頃、さまざまな政治家の手の動きを研究しました。音を消して、手の動きだけを追っていきます。田中角栄元総理の拳の握り方、バラク・オバマ元米国大統領の両腕の上げ下げの仕方、ドナルド・トランプ元米国大統領の手のひらの使い方。手の動きだけで、重要な箇所がわかる。何を語っているかが見えてくる。手が、言葉をかたちにしているのです。

 赤ちゃんに、「いない、いないバー」をすると笑います。隠れていた顔が出てくる。そのとき扉の役割を果たしているのが手のひらです。赤ちゃんに対しては手のひらを見せていることになります。笑顔と手を使って、赤ちゃんに「私がママですよ!」と言っているのです。手のひらを見せるこのポーズは、自己開示のポーズです。マクドナルドの「ドナルド」も、ミッキーマウスも、手のひらを思い切り開いています。過激な発言の多かったトランプ元大統領に、不思議な愛嬌があったのは手のひらを聴衆に向けることが多かったからではないでしょうか。

 手のひらを見せるアクションを取り入れる。これだけで、あなたは相手に自己開示している印象を与えることができます。