新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大が止まらない。1月22日には国内の新規感染者が初めて5万人を超え、「まん延防止等重点措置」の適用対象は34都道府県に拡大した。
オミクロン株の猛威は永田町にも及んだ。24日から始まった衆院予算委員会で質問を予定していた立憲民主党幹事長の西村智奈美が家庭内感染して、質問者が代表の泉健太に交代する事態が生じた。西村にとってこれが実質的な幹事長デビュー戦になるはずだった。
感染症対策が国家の危機管理上の最大のテーマであることは、何度も指摘されてきた。そして大原則は「初動が全て」(元政府高官)であることも不変の鉄則だ。
予想通りとはいえ、急激な感染拡大によって高値安定が続いていた内閣支持率に陰りが見える。端的に表れたのが、1日の新規感染者が5万人を超えた直後に「共同通信」が実施した世論調査。支持率は昨年12月の調査に比べて4.1ポイント減の55.9%となった。
安倍・菅両政権と同じく、感染者数が支持率と連動する気配を感じさせる。調査内容を見ても、まん延防止等重点措置に関して適用のタイミングが「遅過ぎた」が50.2%。「適切だ」の40.4%を上回った。
同時期の「朝日新聞」の世論調査では、支持率は昨年12月と同じ49%ながら、新型コロナを巡る政府対応を「評価する」は51%から45%に低下。「産経新聞」では支持率が66.9%で前回調査(昨年12月)から0.5ポイント増えたが、新型コロナ対策で首相の岸田文雄がリーダーシップを発揮しているかについては、「思う」(44.7%)と「思わない」(47.7%)に割れた。
いずれも支持率は横ばいだが、「あらゆる事態を想定して先手を打つ」ことを繰り返していた岸田流に、疑問符が付き始めたと言っていいかもしれない。