新型コロナウイルスの「オミクロン株」による感染拡大が止まらない。あっという間に全国に広がり、歯止めがかからない。想定外だったのは在日米軍基地に由来するとみられる深刻な感染拡大だろう。全国の7割の米軍基地が集中する沖縄県では、1月8日の感染者数は過去最多の1759人に達した。こうした感染拡大は昨年末から続いており、日本政府の対応に不満、批判が広がる。沖縄県知事の玉城デニーは怒りを込めた。
「感染拡大の大きな起因の一つが米軍基地であることは間違いない。徹底的な取り組みを求めたい」
山口県と隣県の広島県の感染者も急増した。首相の岸田文雄は6日の時点で、「感染拡大の原因、感染ルートを断定するのは難しい」と述べていたが、両県で確認された感染者数を見れば、山口県にある米軍岩国基地が関係したとみるのが自然だ。この感染急拡大を受けて岸田は沖縄、山口、広島の3県を対象に9日からの「まん延防止等重点措置」の適用を決めた。
日米地位協定によって、米軍兵士の出入国管理の権限は日本政府にはないという構造的問題を抱えていたが、この「穴」が感染力の強いオミクロン株によってあぶり出された。外務省幹部は米軍に対する不信感を口にした。
「2年前から米軍は厳しい感染対策をやっていることを前提に考えていた」
その信頼が裏切られた。