二つ目は、これはちょっと声を大にして言いたいのですが、社内の生産管理や在庫管理などの業務管理システムを大きく変えていっていることです。

 当社は18年12月期に上場以来初の最終赤字に転落しました。

 私が社長就任したのは2014年3月なのですが、実は当時から社内のシステムには疑問を持っていました。

 当社の商品の多くは季節品ですので、たとえば夏物商品の業績が確定するのは、売れ残りが返品される12月頃です。当然、返品を見越して生産しなければならないのですが、その需要予測の仕組みが非常に脆弱(ぜいじゃく)でした。

 過去のデータを参考に「だいたいこれぐらいだろう」と、どんぶり勘定でやっていたんですね。それでも大きく外れることはありませんでした。

 ところが、最近では一年を通じて、季節変動が激しくなり、過去のやり方では需要予測ができなくなってきました。過去のやり方が、時代にそぐわなくなってきたのです。

 実は18年12月期も当初、社内では最終黒字を維持できるとの報告を受けていたんです。

 ところがふたを開けてみれば最終赤字。これをきっかけに、「もう変えなあかん」と判断し、販売や在庫の状況などが瞬時にわかるよう、システムをすべて入れ替えることに決めました。

 従来は返品される時期になって「やばい」となっていたわけですが、データ収集や分析の仕組みができたことで、返品リスクが低減しました。

 また、計画以上に商品が売れた場合も、先が見通せるようになったことで、当初やろうとしていたことを来年に回し、決算見込みとの「ブレ」を少なくすることが可能になりました。

 このシステムの入れ替え作業を19年から始めて、20年からようやく成果が出始めたところに、コロナの追い風が重なり、現在の好業績につながっているのです。