トップダウン型の組織を
ボトムアップ型に変革

 社長となった私のミッションは何か。

 結論から言えば会社を成長させることです。

 そのために、先述の社内システムの導入も含め、さまざまな取り組みをしてきました。

 外部から見れば当社は何も変わっていないように見えると思います。新商品を出す一方で、昔から変わらず「ごきぶりホイホイ」も売っています。

 しかし、組織運営のあり方については、以前に比べて180度ぐらい変わったと思います。

 当社は長らく、トップダウン型の組織でしたが、私の代でボトムアップ的な組織に変えてきました。

 トップダウン型がダメでボトムアップ型が良いというわけではありません。

 トップダウン型の組織は決断が早いというスピード感があります。

 しかし、ボトムアップ型に変えようと思った理由の一つは、私が前の2人の社長と違い、大塚家出身ではない当社プロパーということですが、それ以上に大きな理由がありました。

 それは当社の規模です。

 少人数のファミリー企業であれば、トップダウンでどんどん意思決定していけばいいのですが、株式上場を果たし、社員数もアース製薬は1200人、アースグループで4000人を超える規模になってくると、トップダウンの意思決定が組織の末端まで届かなくなってしまいます。

 そして、何よりも問題なのは、トップダウンが長年続き、極端な言い方をすれば、「箸の上げ下ろし」までトップが決めるような経営を続けると、自主的に考えられない「指示待ち」社員が増えてしまうことです。

 それでも、トップに経営のセンスがあれば問題はないのですが、もしセンスの悪い経営者となったとき、会社はつぶれてしまうかもしれません。

 もちろん、「ボトムアップ型へ変えよう」と私が旗を掲げても、長年染みついたものがあるので変革には時間がかかります。一つ一つ積み上げていかねばならず、今も道半ばです。