グロース市場の流通株式時価総額の基準は、わずか5億円以上。スタンダード市場の基準の半分で、生き残れる条件としては最も緩い。その5億円すらクリアできない企業が2社ある。特集『東証再編が誘発! 上場廃止ラッシュ』(全15回)の#4では、上場の意義を疑われる2社が、どんな企業か詳しく見ていく。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
新市場で最も基準が緩いグロース
その水準すら満たせない2社の実名
本特集で作成している「上場廃止危険度ランキング」の三つ目は、グロース市場の猶予企業を対象にしてみたい。東京証券取引所は、グロースを高い成長性を持つ企業の市場と位置付けている。
一方、プライム市場は世界経済をリードする企業向け、スタンダード市場は国内経済の中核を担う企業向けというコンセプトだ。
グロースの上場維持基準は、スタンダードより、さらに緩い。上場基準の中で最もクリアするのが難しい「流通株式時価総額」の水準を見ると、プライムの20分の1、スタンダードの2分の1に当たる、わずか5億円である。
グロースも上場基準を複数持っている。そのいずれかに引っ掛かり、なおかつ基準到達に向けた計画書(改善計画書)の中で、流通時価総額を開示した企業は、ダイヤモンド編集部の集計で44社あった。このうち5億円に満たない企業は2社しかなかった。
ただ、今回は5億円を突破できたとしても、相場次第で基準に抵触し得る企業は当然出てくる。そこで本稿では、流通時価総額のワースト20位までを整理してみた。その顔触れと、5億円を下回った2社について詳しく見ていこう。