国会記事堂「一票の格差」は投票権の不平等の問題だけでなく、日本の資源配分をゆがめ経済停滞の一因にもなっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「一票の格差」が生む経済課題
資源配分をゆがめ成長停滞の一因に

「一票の格差」の問題がいわれて久しい。

 昨年秋の総選挙では公示日前日(10月18日)現在の、小選挙区別の選挙人名簿登録者数を見ると、最も多い東京13区の48万2445人と、最も少ない鳥取1区の23万1313人とは、一票の重みに2.086倍の格差があった。

 筆者が約35年前に大学で憲法について勉強した際、一票の格差が3~4倍辺りで合憲か違憲かという議論が行われていたのに違和感があったのを覚えている。

 人間の平等を語るとき、いくらなんでも2人分を超える投票権を持つ人がいる状況はおかしい、と考えるのが自然ではないかと思ったからだ。

 その後、時代は進み、2010年頃以降の衆院定数訴訟では、格差2倍が「違憲ライン」となっている。

 政府の衆議院選挙区画定審議会は、首都圏などの5都県で議席を増やし地方の10県で議席を減らす「10増10減」の新たな区割り案を今年6月までに首相に勧告し、政府は改正法案を国会に提出する予定だ。

 一票の格差は日本経済の資源配分をゆがめ成長停滞の一因にもなっており、区割り是正はぜひ必要だ。