発見型改善とは、日常の仕事の中から解決すべき問題をそのつど発見し、試行錯誤を通じて問題を解決し続ける長期的な改善アプローチです。このアプローチは、1つ1つの改善は小さなもので、短期的に劇的な効果に結び付くものではありません。そのため、いかに活動を継続させ、長期間実施することで、組織全体の問題発見・解決能力の蓄積に結び付けるかが重要になります。
それでは、発見型改善の具体的イメージとはどのようなものでしょうか。結論から言えば、このような発見型改善の1つの典型例は、3S(整理・清掃・整頓)の徹底です。3Sと言うと、随分と些細なことだと感じる方も多いかもしれませんが、このような些細な細部にこそ、長期的には企業の問題発見・解決能力の蓄積に結びつき、独自の文化が形成されるメカニズムが隠されていると考えるのです。
改善活動が長期間継続されている企業において、今特に何を意識して改善活動に取り組んでいるかを尋ねると、多くの企業から、「原点回帰で3Sの徹底から再度取り組んでいます」とか、「部品・治工具・金型の手元化に徹底的に取り組んでいます」などという答えが返ってきます。
もちろん、3Sや手元化は、手法や技法と呼べなくもないのですが、もっとプリミティブで、かつシンプルな原理・原則です。発見型改善に共通してみられる特徴は、3Sに限らず、付加価値作業の追求や7つのムダの徹底排除など手段は何でも良いのですが、このようなシンプルで誰にでも判りやすい原理・原則を徹底している点です。
「整理」「清掃」「整頓」
3Sとは何か?
まず3Sについて、簡単に復習しておきましょう。一般には、3Sではなく、5S(整理・清掃・整頓・清潔・躾)と呼ばれることが多いのですが、最後の2S(清潔・躾)はそれぞれ、「3Sを維持・継続すること」「3Sを通じて各作業者にルール・規律を徹底させること」であることを考えると、前半の3Sの内容をきちんと理解し、継続的に実施することができれば、5Sが可能になると考えることができます。