「日本除菌連合」という存在が今回の騒動の一因か

 マスコミの解説によれば、コロナ感染を防ぐ効果があるとか、空間の殺菌・除菌効果があるなどとうたう製品の相談が多く寄せられていることを、問題視した消費者庁が、「空間除菌市場」を牽引するリーダー的な存在である「クレベリン」に狙いを定めたという。

 一見、説得力のあるストーリーではあるが、個人的にはちょっと引っかかる。

 空間除菌関連製品の広告表示を適切な方向へ指導したいのなら、今回のように企業との「全面対立」を避けるべきなのは言うまでもない。もし裁判で負けでもしたら、消費者庁のメンツは丸潰れで、不当な広告表示をする業者がさらに勢いづいて手がつけられなくなってしまうからだ。

 そんなリスクがありながらも「全面対立」に踏み切ったのは、もっと切実な目的があったからではないか。これは筆者の想像だが、シンプルに「空間除菌」というものの社会的信用を失わせることではなかったかと思っている。

「おいおい、役所がそんな風に民間企業のビジネスを邪魔をするわけがないだろ」と思うかもしれないが、役所だからこそ、それを必死にやらないといけない「オトナの事情」があるのだ。

 実世間一般ではまだあまり知られていないが今、厚労省、経産省、そして消費者庁に対して「空間除菌の科学的根拠を認めろ」と強く迫っている団体があるのだ。「日本除菌連合」である。

 この団体は、「除菌の力で新型コロナウイルスの感染を防ごうという技術を持ったメーカー、業界が大同団結する有志連合」(ホームページより)で、主に加盟しているのは、「次亜塩素酸水」による除菌機器を扱うメーカーが多くを占めており、そこに大幸薬品の名前はない。

 だが、目指すところは空間除菌剤メーカーとも微妙に重なっている。「政府のアクションプランに除菌を加えること、国の空間環境除菌への全面的バックアップ、政府機関によるエビデンス取得、研究技術開発の支援、研究補助金、普及補助金、海外展開助成など」を求めていくということだからだ。

 その「日本除菌連合」が昨年秋、医療界で話題になったことがある。《2021.10.27 厚労省から次亜塩素酸の空間噴霧を認める通達が出されました》というプレスリリースを出したのだ。