【戦略2】セブンへ商品を供給する
ダイソーの戦略

 一方で、100均業界トップのダイソーが、今、面白い戦略に取り組んでいます。お気付きの方も多いかもしれませんが、セブンーイレブンの店舗にダイソーのロゴの入った、ピンク色ののぼりが立てられているお店をちょくちょく見かけるようになっているのです。

 これは、セブンーイレブンの売り場の一部にダイソーの専用売り場を設置した実験です。この実験結果が好調だったようで、セブンーイレブンはこの夏、ダイソー商品を全店で取り扱うことにするといいます。

 ダイソーも、自社店舗では高額商品に力を入れるなどしてインフレ経済をなんとか乗り切ろうとしています。その一方で、コンビニ商品と比較してもダイソー商品の品質は高く、かつインフレを考慮してもまだ価格競争力が高い商品群を有しています。

 セブンーイレブンの強みはPBである「セブンプレミアム」の商品力にあります。食品のラインナップを見ると様々なナショナルブランドの有力メーカーに開発を依頼して、スーパーで売られているブランド食品よりもさらにおいしい商品を展開することで差異化をはかってきました。

 それと同じ考えで雑貨や日用品に関してはダイソーの開発商品を導入する。たとえセブンプレミアムのロゴがつかなくてもセブンと同等の品質の雑貨がダイソーの価格で店頭に並べば消費者は飛びつくはず。それが実験店舗で実証されたということなのでしょう。

 消費者から見ればリーズナブルな価格の日用雑貨をコンビニで買える。セブンから見ればこれまであまり売れなかったカテゴリーの商品が売れ筋になる。ダイソーから見れば売り場のごくごく一部とはいえ、全国2万1000店の販売網が手に入る。100均経営だけでなく、商品供給者としての新ビジネスに力を入れるダイソーの戦略も面白いと私は思います。