ウクライナ情勢は物理的にはロシアが侵攻するかどうかという地域的イシューだが、米国が強く関与する姿勢を示し、また覇権的な動きを維持する中国がそれを観察しているという背景からは、大国間を巡るグローバルなイシューとも位置付けられよう。

 安全保障の専門家の中では、ウクライナ情勢は日本にとって決して対岸の火事でなく、米国が対ロシアでうまく機能しなければ、中国や北朝鮮に政治的な隙を与えることになるとの見方も上がっている。

 今日、ウクライナ情勢の行方がどうなるかは分からない。それはプーチン大統領があらゆる事情を考慮して総合的に判断することであり、国際社会はそれを見て対応することになる。

企業が予見しやすい
国家間型リスク

 一方、ウクライナ情勢は邦人退避という大きな問題を内在している。

 2月3日時点のメディア報道によると、ウクライナに在住する日本人250人余り(昨年12月時点)のうち、3分の1にあたる80人余り(商社の駐在員や大使館職員の帯同家族など)が既にウクライナから退避したが、現在も170人余りがウクライナに残っているという。

 在住者も商社マンや大使館員もいれば、現地の人と結婚している方もいて、中々スムーズにいかない事情があるようだ。

 ウクライナ情勢について、われわれは邦人退避の観点からどう考えるべきだろうか。2017年の北朝鮮危機、昨年はミャンマー情勢やアフガニスタン情勢を巡って邦人退避が大きな問題となり、今日では台湾有事を巡って邦人退避の議論が活発化している。