コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
19万部を突破した『ストレスフリー超大全』で、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫るーー(この記事は2020年8月11日付け記事を再構成したものです)

スルー言葉を使い分ける

スルーするといっても、現実的には難しいかもしれません。上司や先輩などには、「へぇ」は使えません。そんなときは、いくつかのバリエーションで「スルー言葉」を使い分けましょう。

毒舌、冷淡系の「スルー言葉」としては、「それが何か?」は強烈です。ネット民がよく使う言葉ですが、クールな口調で「それが何か?」と言われると、反論しようがなく、相手は黙るしかありません。

とはいえ、上司や先輩から、圧力をかけられたときに、「それが何か?」と言うと、角が立ち、相手を怒らせます。その場合は、「丁重・丁寧系スルー言葉」を使います。

たとえば、笑顔で「アドバイス、本当にありがとうございます」と言います。顔は笑顔ですが、心の中は全力でスルー。当然、そのアドバイスを実行する必要はありません。

「(笑顔で)それはよかったですね」と言うのも使えます。丁寧さ95%の中に、5%だけ「私は関心がない」という非言語的なメッセージがこもっています。相手と関わりたくない場合は、「毒舌・冷淡系」のスルー言葉を、自分よりも上の立場の人には「丁重・丁寧系」のスルー言葉を使い、上手にスルーしてください

精神科医が教える「めんどくさい人と関わらない方法」Photo: Adobe Stock

適当にほめておだてる

スルー言葉を使えない人には、「適当にほめておだてる」という作戦があります。マウンティングする人は、人よりも優越感を持ちたい人です。優越感が満たされれば機嫌がよくなる。単純というか、「かわいい生き物」です。

マウンティングする人の心理がわかれば、「ネガティブな感情のかけ引き」に巻き込まれないで済みます。ネガティブな攻撃に対して、「怒り」「嫌み」「うんざりした表情」で反撃しては、泥沼の戦いになる可能性もあります。

こちらは、冷静に大人の対応をします。「すごいですね」「さすがですね」と返しておけば、相手は勝手に気持ちよくなります。あなたに対して好感を持つかもしれませんし、そうやって返せるあなたのほうが大人なのです。

最後に、私が考える最強のスルー言葉集を掲載しておきます。

毒舌・冷淡系
「へー、それで?」
「それが何か?」
「それで、他に何か?」
「わかりました。それで?」
「大丈夫です。ご心配なく」
丁重・丁寧系
「そうですね。私もそう思います」
「ありがとうございます」
「なるほど、そういう考えもありますね」
「わかりました。検討させていただきます」
「アドバイス、本当にありがとうございます」
「(笑顔で)それはよかったですね」​

ぜひ、取り入れてみてください。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ80万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、30冊以上の著書がある。

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