熱源が戸建ての価格に影響
都市ガスが引かれていれば「いい場所」

 筆者が調査した結果、広告に記されている情報で最も価格に影響を与えているものは、熱源であった。熱源とは、都市ガス・プロパンガス・オール電化の3択になる。首都圏(1都3県)での分譲戸建ての熱源は2021年で都市ガス79.5%・プロパンガス12.7%・オール電化3.3%(その他は不明)となっている。分譲価格はこの3つの熱源で大きく異なる。

 都市ガス事業は電力と違って全世帯に届ける義務はなく、ガス事業者が延ばしたい場所にガス管を引いている。これまでの都市や街のでき方からいって、比較的みんなが住んでいる場所にガス管は引かれていく傾向にある。この結果として、都市ガスが引かれているところは相対的に「いい場所」であり、それ以外は居住に難ありな場所と考えてもいい。

 土地価格も同じ傾向が表れる。土地の広告情報には熱源が書いてある。都市ガスと書いてある土地の首都圏の平方メートル単価は38万円に対して、それ以外は10万円にすぎない。その売れ行きも如実に違ってくる。都市ガスが5.7カ月で広告落ち(売れた可能性が高い)するのに対して、都市ガス以外は7.6カ月かかっている。つまり、売りにくいということだ。

 売りにくいものは買い手が少ないので、資産価値が落ちやすい。日本の総人口は既に減って久しいが、都市部ではまだ増えていて、地方・郊外から減り始めていることは明らかである。

 設備でも熱源に準じた項目で価格差が生まれる。それは床暖房だ。当社の調査では、首都圏での床暖房設置比率は27%ほどで、都区部では60%以上が設置されていてほぼ標準設備になっている。価格の側面から見ると、高額物件には床暖房が付いているが、安い物件には付いていないのだ。しかし、この手の高額設備は高額帯物件から普及していくものだ。