○寝汗がひどい場合

【処方例】桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)(1回1包 1日3回、3~7日)

【備考】桂枝加黄耆湯は、寝汗だけが適応症の漢方薬で、効果は迅速かつ適確です。第二類医薬品にもありますので、通信販売などで入手可能です。

○全身倦怠感が強い場合

【処方例】補中益気湯1回1包(1日3回 3~7日)

入院先が見つからなくて自宅待機中の場合

 37.5℃以上の発熱、呼吸困難、胃腸障害、種々の疼痛、集中力・思考力の低下(brain fog)など、本来は入院治療が必要な状態なのに、病院のベッドが満床で受け入れ先が見つからず、自宅療養を余儀なくされた場合、入院先が見つかるまで下記の漢方薬の服用をおすすめします。

【処方例】葛根湯 1回1包+小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)1回1包(1日3-4回 4~7日間)

【仕上げ】強い初期症状がおさまったあと、「桂麻各半湯1回1包(1日3回 3~7日間)」と、「補中益気湯1回1包 (1日3回 3~7日間)」を服用すると、通常の状態にソフトランディングさせるうえで有効です。なお、桂麻各半湯は第二類医薬品にありますので、通信販売などで入手可能です。

【注意点】自宅療養中は、パルスオキシメーターで少なくとも1日3回、酸素飽和度を測定し、酸素飽和度が93%の危険水域に近づいたら、すぐに保健所や発熱相談センターなどに連絡するか、救急車を呼んでください。なお、小柴胡湯加桔梗石膏は、第二類医薬品にありますので、通信販売などで入手可能です。市販の漢方薬を使う場合は、第二類医薬品の柴葛解肌湯エキス細粒G「コタロー」(小太郎漢方製薬)でも代替可能です。

無症状で自宅療養、または濃厚接触者で自宅待機の場合

 新型コロナウイルスに感染しているかどうかに関係なく、漢方薬は使用できます。無症状の場合は、補中益気湯がおすすめです。

【処方例】補中益気湯(1回2.5g、1日朝昼夕の3回、7日)

【備考】補中益気湯は、消化管の粘膜に存在する樹状細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化する働きがあります。樹状細胞の働きが高まると、ウイルスの侵入を素早くキャッチし、効率よく排除できます。さらに、樹状細胞は腸管の免疫システム全般を底上げすることから、補中益気湯を服用していると、ウイルスの感染予防・重症化防止のほか、食欲も増して心身ともに元気になります。無症状者や濃厚接触者の同居者、あるいは仕事などで感染リスクの高い人が、予防のために上記処方を用いるのもよい方法です。