青山フラワーマーケットの
花の値段が安い理由
一方、青山フラワーマーケットは胡蝶蘭の保管用ガラスケースを採用しませんから、固定費が一般の花屋よりも安いわけです。仮に固定費が現状より2万円低い3万円、そして在庫ロスがなかったとすると、この時、売価はいくらになるでしょう。
利益(+1万円) =(売価@?円−@100円)×100本−3万円
@=500
解答は500円です。このように、在庫ロスをなくし、固定費を減らすことで、同じ利益1万円を獲得しようとした場合、一般の花屋が1000円で売らなければならないのに、井上社長のお店ではその半値500円で売り同じ儲けを得ることができるのです。
売り上げに連動する限界利益がマネジメントにとって重要だ、と本書を通じて何度か申し上げていますが、青山フラワーマーケットの場合、売価500円−変動費(=仕入れ値)100円=400円が限界利益となります。
この限界利益を売り上げで割ったものが限界利益率(80%=限界利益400円÷売価500円)です。この限界利益率で固定費を割れば、損益トントンとなる損益分岐点売上高(=固定費÷限界利益率)を計算できます。
両社を比べてみますと、一般の花屋が5万8888円、青山フラワーマーケットは3万7500円、となります。
つまり、5万円の売上高でも赤字となってしまう一般の花屋を横目に、青山フラワーマーケットは1万円も利益を出せるのです。同じ売り上げでも利益を出せる、その分顧客還元ができる、これが井上社長の強みなのです。
そうすれば「あら? このお花、安くて新鮮ね!」となり、リピーターが増え、口コミで新規顧客も増えます。在庫を極力持たずに在庫ロスを極小化し、在庫回転率を上げれば、売上高・利益の増加に大きく貢献するわけです。
ちなみに、青山フラワーマーケットでは開業当初はロス率ゼロだったそうです。現在は店舗数も増え、ビジネス的にも多少の在庫を抱えたほうがよいとの判断もあって、3%程度の在庫ロスはあるようですが、それでも一般的な花屋の10分の1のロスで済んでいます。限りなくゼロに近いロス率が、経費削減に結びついているわけです。
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