中央銀行の引き締め本格化でも
金利はほとんど動かないだろう
米国で記録的なインフレが続き、FRB(連邦準備制度理事会)の大幅な利上げ観測が強まる中、株式市場では金利上昇の悪影響が懸念されている。だが、米著名投資家のケン・フィッシャー氏はこのような心配は杞憂だと一刀両断。その理由について、数々のデータとともに解説する。
世界各国の金利は今年、急騰するだろうか?確かにインフレ率は急上昇している。FRB(米連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀行)は近々「引き締め」に動くようだ。極めて多くの市場関係者が、直近の長期金利上昇は序章に過ぎず、1月の株式相場急落――特に成長株の急落――は、今後のさらなる悪化の前兆と考えている。
だが、このような見方を信じてはいけない!サプライチェーンの混乱が緩和するにつれ、世界の長期金利の動向は皆を驚かせ、むしろ2022年はほぼ不変で終わるのではないか。これは、中央銀行の引き締めいかんによらずだ。私のこの見立てが誤り、金利が上昇したとしても、株式市場への影響は市場関係者が懸念しているほどではないだろう。
まず、インフレの動向について考えてみる。メディアの見出しは「物価急騰継続」と騒ぎ立てるが、いまだ低位の長期金利は、物価を今上昇させる力の短命さを示唆している。そうでなければ、貸し手のインフレ期待を反映する長期金利は、はるか前から一段と上昇していただろう。貸し手はリスクへの対価を求めるからだ。