パウエル議長金融市場の不安定化を避けながら量的引き締めを進めることができるのか、手腕を問われる局面が近づく Photo:Pool/gettyimages

パウエル議長が示唆、3月利上げ開始
資産縮小も遅くとも6月から

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に行った記者会見で、利上げペースを予想されたより早めるだけでなく、保有する米国債やモーゲージ担保債券(MBS)の削減――いわゆる「量的引き締め」――も早々に始めることを示唆した。

 今回、公表した量的引き締めの基本方針を基に、次回(3月)と次々回(4月)のFOMC会合で細部を議論し決定した上で、市場に内容を予告してから実際に着手するという。

 資産縮小が遅くとも6月会合を機に開始される可能性が高くなったといえる。

 だがFRBの資産規模はコロナ対策を通じて大きく膨らんでいる。金融市場の不安定化を避けながら量的引き締めを進めることができるのか、手腕を問われる局面が近づく。

量的引き締めのメカニズム
リスクプレミアム拡大で長期金利押し上げ

 量的引き締めが効果を発揮するメカニズムは、量的緩和の場合を逆に考えればわかりやすい。

 量的緩和がリスクプレミアムの圧縮を通じて長期金利を押し下げる効果を持つことについてはコンセンサスがある。それに対して量的引き締めは、逆にリスクプレミアムの拡大を通じて長期金利を押し上げる効果を持つことになる。