その他孫の手いろいろ
筆者が出した結論とは

 楽天の売れ筋ランキングを参考にしてみると、材質は木、竹、プラスチック、樹脂、ステンレスなどさまざまである。ステンレス製は熊手状のものに多く見られ、若干スタイリッシュな印象がある。一方、木や竹などの天然素材の孫の手には温かみがある。

 これらに「折り畳み式」や「伸縮自在」、「手のひらサイズ」「肩たたきボール付き」「軟膏も塗れる」などのオプションがあった。さて、どれを選ぼうか。

 最先端の孫の手、というほど大げさなものではないが、最近のはやりにブラシタイプのものがあるらしい。棒の先端に少し硬めの毛が備えられている造りである。

 かゆみをピンポイントで撃滅しにいく従来型の孫の手に比べて、ブラシタイプは刺激を施す部分が少し広いので、得も言われぬ気持ち良さを実現してくれるそうだ。孫の手にさらなる気持ち良さを求める人は、ぜひブラシタイプがよろしかろう。こちらは孫の手の中ではやや高級な扱いであり、2000円を超すものが多い。

 ほかに特筆に値する孫の手といったら、デザインの特殊性がそのままその製品の特殊性となっているものであろうか。

 特殊デザインの中でもポピュラーな部類には、たとえば、手の骨や猫の手、鳥の爪を模した孫の手がある。少しニッチな方向に進むと、リアルな人の手、ゾンビの手、魔物が乗っかっている孫の手などもあり、こちらはグロテスクなので、孫の前ではあまり使いたくない孫の手であろう。日常にしゃれをきかせたい人におすすめの製品群である。

 さて、相棒たる一品に出合うべくいろいろな孫の手について調べてみたが、いかにも“科学の最先端”を体現したかのような孫の手は見つけることができなかった。

 念のためクラウドファンディングサイト「KICKSTARTER」でも探してみたが、約8年前に目標未達でプロジェクトは終了したバックスクラッチャーがひとつ見つかっただけであった(半円を描くような長めの孫の手で、こぶしを胸のあたりに構えたまま背中をかくことができる代物であった)。

 孫の手が、昔からあまり進歩らしい進歩を見せてこなかったことが不思議にすら思えるが、裏を返せば誕生以来既にしてほぼ完成形であったと言うこともできる。「かゆみ沈静化レーザー照射小型ドローン」の出番は当分なさそうだが、過去の人が開発してくれた人類の英知に感謝して、あしき背中のかゆみに立ち向かっていきたい。

 なお散々調べた結果、筆者が「マイ孫の手」と思いを定めて注文したのはお値段約500円、小型・伸縮自在のステンレス製となった。ずいぶん無難なところに落ち着いたが、届く日を待ちわびるくらい楽しみにしている。